建具の「戸」24選!
◯◯戸…種類が多くて
見た目から名前の特定が難しいですよね…
その理由は「戸」や「扉」を調べると
・専門用語がでてきたり
・昔と現代で名前が違ったり
・扱う業者によって呼び方も違う
・戸を説明するのに◯◯戸がでてきて
知りたい「戸」がどれなのか混乱します。
こちらの記事ではそんな「戸」達を整列。
画像と名前で一致させます。
お家の戸を新しいものに交換するときや
リフォームや新築の際に、活用してください。
「戸」がつく名前の開閉方法
こちらは戸の名称ではなく開き方です。
開き方に「◯◯戸」と名前がついています
戸の開け方は、昔から現在でも
大きく2つ【引き戸】と【開き戸】があります
現代に進み【折れ戸】という開けた方が
開発されました。
引き戸の種類
左右に引いて開ける戸の総称を
「引き戸」と呼び、その種類は
・片引き戸(和室の襖や部屋の戸)
・両引き戸(4枚の小窓やリビングの窓)
・引込み戸(壁の中にいれて開ける)
・引違い戸(壁際に沿って開ける)
・折れ戸、折り戸(クローゼット)
・吊り引き戸(上に吊られた戸)
開き戸の種類
押し引きで開ける扉(戸)の総称を
「開き戸」と呼び、その種類は
・片開き戸(フェンスやドア、出窓など)
・両開き戸(大きめの玄関ドアやフェンス)
※両開きを手前に引いて開ける戸を
「観音開き」ともいう。
このように戸の開け方に◯◯戸と書かれ
戸を調べている時に混乱してしまいました
「戸」の理解が難しい理由
今回さまざまな「戸」を調べてみて
混乱した理由をまとめました。
疑問が出た時の参考にしてみてください
・開閉方法にも「戸」がつくため
「開け方」と「名前」の戸が混ざる
・説明に建築用語が使われるため
二重に理解ができない
・地域/職人/で呼び方が違うため
解釈が混ざり、矛盾します。
・引き戸の中に板戸。板戸の框戸
という感じで◯◯戸が混同している
・平安時代と現代で呼び方が違って
全体がイメージしにくい。
それではここから
戸の種類をご紹介していきます!
格子戸(こうしど)
【内部/外部建具】引き戸/開き戸(扉)
さまざまな開け方があり
木材が格子状に組まれた戸をさし、
一枚板のように美しく、人気があります
窓の場合は「格子窓」になります。
日本での格子戸の起源は、平安時代。
飛鳥時代の板戸がどういう見た目だったか
不明なため、平安時代と考えています。
さまざまな格子の特徴をまとめた記事▶︎
家屋に打ち付けた格子はこちら
↑こちらでは◯◯格子を解説しています。
格子の組まれ方にも特徴があり
それぞれ名前や歴史あります。
障子戸(しょうじど)
【内部建具】引き戸▶︎引違い戸/両引き戸
木枠の中に桟(細い木の柱)を組み、
片面に障子紙やガラスを
取り付けたもので、シンプルな構造で
現代でも和室の窓に用いられていますね
木枠の温もりと障子紙の柔らかな光が、
日本の伝統美を感じさせてくれます。
平安時代794年〜
上流階級がすむ住宅(寝殿造り)の
外回りに使われていた遣り戸が
障子の原型ともいわれています。
板戸(いたど)
【内部/外部建具】引き戸▶︎ 引違い戸/両引き戸
木の板で作られた戸の総称。
現代でも使われ、そう呼ばれています。
例えばこのような戸などがあります。
板戸に…
・板に框(かまち)をつけると框戸
・框戸に帯を付けると帯戸
・框戸に舞良子を付けると舞良戸
・框戸に桟で区切ると桟唐戸
・板戸を上下に開閉し吊るせる蔀戸
・板戸を家の開口部に備える雨戸
・2枚以上の板を止めると端喰戸
・鏡板を貼り付けると鏡板戸
・横木を付け補強すると桟戸
框(かまち)と桟(さん)の違いを調べると…
框とは「縁」や「枠」という意味で
桟とは「横木」や「補強材」という意味です。
縦木でも、縁であれば框。
真ん中に(補強材)があれば桟になります。
職人や地域、時代によって
呼び方が異なりますので混乱してしまいますね
遣戸(やりど)
【内部建具】引き戸▶︎引違い戸
(平安時代の呼ばれ方)屋外との隔に使い
現代ではほとんど使わない言葉です
鴨居(かもい)と敷居(しきい)の溝に
(鴨居と敷居とは上下のレール)沿って
開閉する戸で、引違い戸の始まりとも。
平安時代の寝殿造で初めて用いられ、
室町時代に入って書院造に多用された。
「遣り戸」は戸の形状や作りの名称ではなく
鴨居と敷居の溝に沿って開閉した戸が
この「遣り戸」ということになります。
舞良戸ともなるのですが、そもそも
平安時代では舞良戸ではなく遣り戸と
呼ばれ、平安時代から進むにつれて舞良戸と
呼ばれるようになりました。
簾戸/簀戸(すど)
【内部建具】引き戸▶︎引違い戸/両引き戸
簾(すだれ)をはめ込んだ戸で、
萩・葦・竹ヒゴなどの自然素材がつかわれます
現代では和室や縁側などで用いられ、
遮光、通気以外にも、網戸の役割もあります
別名「夏障子」
「葦戸(よしど)」「葭障子(よししょうじ)」
「御簾戸(みすど)」とも。
夏が始まる6月頃に、襖や障子を
簾戸に取り換えることで、
日射しを和らげ、風を通し快適に過ごせます。
枝折戸(しおりど)
【外部建具】開き戸▶︎外構の片開き戸
木や竹などを折ったものを並べて作る扉
庭の出入り口で目にしますが
昔から現代でも身近に使われています。
元々は枝を折って道しるべにするような
使われ方をしたそうです。
框戸(かまちど)
【内部建具】開き戸/引き戸▶︎様々な開け方
框(かまち)とよぶ
四周を枠材で組み(これを框組構造という)
強度を持たせた扉(開き戸)の建具の総称。
ですが現代には、引き戸もあり
扉の中央部にガラスや格子で一枚戸にします。
職人によって框は左右の縦の木を指し
上下の横木を横桟(よこざん)といったり
扱う建具の専門によって呼ばれ方が変わります
帯戸(おびど)
【内部建具】開き戸/引き戸▶︎様々な開け方
真ん中に帯のように横木が入っている板戸。
補強材よりも少し太めの板です。
江戸以後の裕福な家でしか使われないもの
帯部分が障子や組子・ガラスになり
室内間の仕切、押入や廊下に用いる板戸
(廊下に用いた場合は杉戸と云う)
一枚板で作られ杉の一枚板のもの
ガラス戸(がらすど)
【内部建具】開き戸▶︎片開き戸
鏡板戸の板の部分をガラス製にした戸
窓ガラスが使われ始めたのは、古代ローマ。
江戸時代でも窓ガラスはあったようですが
輸入品で庶民には普及せず障子が一般的。
作られたのは明治時代以降だったそうです。
鏡板戸(かがみいたど)
【内部建具】開き戸/引き戸▶︎様々な開け方
框に板を張った戸で、鏡戸とも言われ
基本的に木目の入った一本木からとられます
1枚板。数枚ならべて作られることもあり
基本的に高級で高額。
鏡板ということから鏡面のような仕上り
フラッシュ戸(ふらっしゅど)
【内部建具】引き戸/開き戸▶︎様々な開け方
フラッシュとは「平らな」という意味で
綺麗な平面仕上がりにそう呼ばれています
近年作られた戸で外国から輸入されました
鏡板戸との違いは、ベニヤ板で作られます
桟戸(さんど)
【内部建具】引き戸/開き戸▶︎片開き戸/片引戸
桟(さん)を入れた戸。桟とは
板または蓋(ふた)がそるのを防ぐための補強材
通常戸の内部に備えられ見ることが少ないです
地方によって厚みなど違いがでるそうです。
開閉しやすいよう軽くするため桟や框を細くし
裏側に補強用の桟や格子を入れて堅牢にした戸
格子戸の元とされる。
框との違いは、框は戸の本体の一部で
桟は補強材で障子戸に使われる言葉ですが
職人によってこの呼び方も変わります。
舞良戸(まいらど)
【内部建具】引き戸▶︎引違い戸/両引き戸
横の細い桟を舞良子(まいらこ)といい、
(まいら)とも呼ばれ等間隔に
通常は5本以上(主に奇数)がはいった戸
平安時代に明かり障子が普及し、
保護のための引き戸として登場した。
またこの時代の絵巻物にすでに描かれていて
当時は遣り戸を呼ばれていた。
現代では舞良戸と呼ばれ、作られています。
蔀戸(しとみと)
【外部建具】開き戸▶︎特殊な状態での片開き
板に格子戸を組む雨風などを防ぐ建具。
平安時代の「寝殿造しんでんづくり」という
貴族の住まいの外周ほとんどに使われていた
開き戸式の扉を「妻戸つまど」とも呼ばれた。
寝殿造の蔀戸は閉めるには大変な作業になり
一度閉めると開けるのは簡単ではなかった。
そんな時の出入り口で、端に妻戸を設けた。
上下2枚に分かれ、下1枚は固定され
上の板戸を上下することで開閉ができ、
扉を開けた状態で吊るす開き戸。
昔は商売をするお店は戸を開けることで
道路沿いから商品がみえるように並べます
現代では京都の仁和寺金堂で見られたりと
現存しています。
雨戸(あまど)
【外部建具】引き戸▶︎片引き戸
雨風から守る用途の引き戸です。
蔀戸と舞良戸がありますが
雨戸という建具が初めて見られたのは1587年
聚楽第(じゅらくてい) 豊臣秀吉が建てた
謎の多い政庁・邸宅の大広間とされる
近年では鉄製、シャッタータイプがあります。
網戸(あみど)
【外部建具】引き戸/開き戸▶︎様々な開け方
虫の侵入を阻止する戸。
最初は、奈良時代初期(710年頃)
蚊帳が(布団の周りを囲うネット)始まりで
これは江戸時代に普及します。
網戸が作られるのは日本では明治時代で
昭和30年頃に現在の形状で普及。
端喰戸(はしばみど)
【外部建具】開き戸▶︎観音開き
端喰(はしばみ)という部材が使われる戸。
法隆寺の扉は一枚板の相当な大きい大木から
採られたそうで、経済面や困難性からのちに
幅の狭い2枚以上の板を並べて
上下を端喰(はしばみ)や裏桟(うらざん)で
止めた扉、端喰戸(はしばみど)が登場する。
神社で見ることができ現代でも作られています
唐戸(からど)
【外部建具】開き戸▶︎観音開き
框戸の中で桟で仕切り
古くは妻戸と呼ばれていた開き戸
板や硝子、格子を入れた戸のこと
住宅の建具屋さんでは取扱がないようです。
木製の開き戸(扉)で、鏡板戸の部材をいれ
強度を増した扉のことで、2種類があります。
①板唐戸(いたからど)
昔は板唐戸(いたからど)が
神社などの出入り口によく使われました。
框(かまち)を使わず主に一枚板から作られる
②桟唐戸(さんからど)
現在では、一般の住宅でよく使われる。
桟唐戸(さんからど)は框の枠の中に
縦桟(たてざん)と横桟(よこざん)を組み、
その間に薄板の鏡板やガラスをはめた物で
お寺などの出入り口に使われる。
妻戸(つまど)
【外部建具】開き戸▶︎観音開き
妻は端という意味で端にある扉。
古くは「寝殿造しんでんづくり」の住宅での
両開きの戸の端にある戸を妻戸と呼びます
※妻戸がどんな見た目の戸か?
というより端にある戸を
妻戸と呼んでいたそうです。
後に神社や寺院建築では板唐戸と呼ばれたが
最近では、板唐戸の形式の扉の場合
端になくとも妻戸と呼ばれるようになった
平安時代の扉で、当時は現代のように
細かく分かれていたわけではないため
まとめて呼んでいたと考えられます。
現代の地元の建具屋さんにお聞きしたところ
聞いたことはなく知らないそうです。
鎧戸(よろいど)
【内部/外部建具】開き戸▶︎両開き戸
外の窓に設置された木製の作り。
羽根板(ブラインド)のような配列をした戸
これを「ルーバー」といいそれを
はめ込んだ戸を現代で「ガラリ戸」という
洗面所やクローゼットなどで見られます
見下ろす場合に視線を遮断されて
下から見上げると見ることができる作りの扉。
【疑問】
扉の中を守る鎧がついた戸と
個人的に認識。
・ルーバー(ブライドの配列)という鎧。
・窓を守る両開きの扉型の鎧。
・大きな家具の中を守る厚めの鎧。
これら総称を鎧戸なのか?
地元の建具屋の職人に聞きましたが
「武者の鎧かなんかじゃないか?」
とのことでした。
鎧とつく理由や由来が分かりませんでしたが
分かり次第更新します。
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