街並で見る格子38選【家屋に打ちつける格子編】
今回は灯りにデザインを入れるための知識として格子について調査してみました。
この記事を読むことで格子の世界の全体像がみえて、ネットでの検索や購入、職人さんに発注するときに失敗しにくくなったり、スムーズに注文できるようになります。ぜひ理想の格子が手に入るための参考にしてください。
また観光地や日常で見る格子への興味も深めていただけると幸いです。
記事の最後に、調査しても分からなかったことをまとめました。分からない部分も含めて理解していただけるとより格子についての理解が深まると思います。
格子のカテゴリー
同じ「格子」という言葉でも、使う場面によって大きく5つの意味があります。
・家屋に打ちつける格子
・部屋の建具の戸の格子
・着物の柄の格子
・遊女の階級での格子
・物理学や電極などの格子
これらが入り混ざって◯◯格子になっているため困惑してしまいます。
今回は、家屋に打ちつけた格子にしぼってまとめました。気になる格子があれば目次からタッチし閲覧してみてください。
家屋に打ちつける格子
格子は、とても複雑で自分なりに理解したのは、主に建物の外観で1つの建物や風景には多くの格子が混ざっている事があるということです。
上の建物の格子を例えますと…京都にある「町家格子」の「京格子」です。縦の格子が沢山あるので「千本格子」であり、格子が連なって連続している「連子格子」も含まれます。家屋に直接取り付いているので「平格子」(家屋から外に出ている場合は出格子になります。)
格子の上部の欄間(四角い格子部分)が荒く、商売をしていないことが見うけられますその場合は「仕舞屋格子」ということになります。もしもこの格子が、赤く塗られている場合「弁柄格子」も含まれます。
画像にはこのように6つの格子で形成されています。赤い場合は7つ。ということになります。もしかすると、他の格子も見忘れてしまいまだ含まれているのかも知れませんが…(汗)
このように、この画像の◯◯格子って何?という質問に対して明確に答えるのが難しいのが今回の「家屋に打ちつける格子」の世界です。
それでは今回調べて、分かる範囲での格子を1つ1つご紹介していきます。
平格子(ひらこうし)
【家屋の外壁の状態】が外側に(出ていない) 家屋の柱と柱の間にある格子。家屋から外側へ突き出ていない格子で、家屋自体に取り付けられている格子。外側に突き出ていても、腰の高さに御影石があり棒がはまっている場合も平格子となります。
出格子(でごうし)
【家屋の外壁の状態】が外側に出ている 家屋から外側へ突き出していて足元が浮いている、出窓の役割もした格子、主に仕舞屋の表に設置されていた。(仕舞屋しもたや)とは商売をやめた家。台格子、釣格子とも呼ばれる。
腰窓出格子 (こしまどでごうし)
出窓の出格子。強度はなく屋根は銅板葺き、店の表ではないところに設けられている。
台格子(だいごうし)
太くしっかりとしている。上下の框(かまち)に刺さった格子。格子を支える骨組みの構造で分かれる。(框とは玄関から室内に入る一番最初にある床や天井にある横柱)です。
釣格子(つりごうし)
家の外側に突き出た格子(出格子)
面格子(めんこうし)
【家屋の外壁の状態】に取り付けられている サッシの外側に付ける防犯用の格子で、これも連子格子。 これをはめ込んだ窓や欄間の開口部を「連子窓」といい採光や通気性、防犯性をかねそなえた格子窓です。
連子格子(れんじこうし)
【格子の状態】が連続している 並べた格子を厳密には連子(れんじ)といい、連子とは、細長い木材を一定に連続的に、縦または横に連ねた状態を指す。連子の木の幅(太さ)よりも、木同士の間隔の方が広いものを連子格子という。
千本格子(せんぼんごうし) 万本格子(まんぼんごうし)
無数の縦の格子が用いられ美しい一枚板の格子
弁柄格子(べんがらごうし) 紅殻格子/紅柄格子
【格子の状態】が赤い。 紅殻(べにがら)という赤色の顔料で塗られた格子のことで、ベンガル産の塗料という当て字。意味。
町屋格子(まちやごうし)京格子(きょうごうし)
【京町家の建築物に付いた格子】の総称を指します。
(京町家とは京都市内に建てられた1950年以前の木造家屋)
京町家は格子を見れば職業がわかるようになっています。この格子は、室町時代の洛中洛外図屏風(風俗画)に描かれていた。江戸時代になり、道具の発達にともない繊細な格子が造られました。江戸以降に京都にはたくさんの商店が建築されました。
親子格子(おやこごうし)
【格子の状態】矢印の太い方が親にみたてて 2種類の格子、大と小を親子にみたてて縦に組んだ格子。 小さい(細い)方を切子格子(きりここうし) 大きい(太い)方を親として、このようによばれます。
切子格子(きりここうし)
【格子の状態】矢印の細い方が子 京都の格子の種類の1つで親子格子、子持ち格子とも呼ばれる 矢印の本数によって職業がわかるようになっています。
糸屋格子(いとやごうし) 紐屋格子(ひもやごうし)
【格子の配列】で3本の切子格子 太い1本の格子に対して3本の細い、切子格子で形成された格子。 切子格子が3本のつくりになることで採光に適した構造。当時は照明がないため、光を外から入れて、繊維の色を見せていたようです。
倉敷格子(くらしきこうし)
町屋の1階正面部分の柱間の格子で、形式的には親付切子格子と称され、京都では糸屋格子とも称されます。
呉服屋格子(ごふくやごうし)
【格子の配列】で2本の切子格子 太い1本の格子に対して2本の細い、切子格子で形成された格子。 繊維を扱ったお店に好まれたことから呉服屋格子といわれています。 呉服屋は店の中を明るくするため2本の細い切子格子にすることが多かったようです。
織屋格子(おりやごうし)
【格子の配列】で4本の切子格子 太い1本の格子に対して4本の細い、切子格子で形成された格子。 切子は、4本までを限度としているなか、京都府の宮津では7本のものもあるようです。
酒屋格子(さかやごうし)
【格子の配列】で太い格子 紅柄塗りされた太く丈夫な木材が入った格子で酒樽がぶつかってもいいよう形成されています。ただ隙間にガラスや障子がないので強い風や雨がふると中まではいってしまい網戸もないため虫も自由に入ってしまうつくりになっています。
米屋格子(こめやこうし)
【格子の配列】で太い格子 基本的には酒屋格子ににていますが、米ぬかを粉砕して粉末状にしたものが付かないように紅柄塗りされていない木肌の状態が多く、米俵がぶつかってもいいように形成されています。また格子の下の部分の横板が二重につくられています。
炭屋格子(すみやごうし) 板子格子(いたここうし)
【格子の配列】で広い格子 木と木の隙間が狭いのが特徴で炭の粉が外に出てしまうので、それを防ぐために閉じている。当初は格子はなく開放された入り口だったが、隣近所に灰が飛んで行かないよう配慮して格子戸をつけるようになりました。また炭屋格子の開きをさらに狭くした格子は板子格子といいます。現在は数が少ないため大変貴重な格子になります。
麩屋格子(ふやごうし
【格子の配列】で下部に横板がある格子 麩 豆腐 こんにゃく 湯葉など水をつかったお店に使われた格子で、明るさ調整できて、水が飛ばないよう下の部分に板張りされています。内側に水場、揚場など作業台が設置されています。また水に濡れてもいいように油紙が障子に使われています。
仕舞屋格子(しもたやごうし)
【格子の配列】で上下分かれている 店を手仕舞いした(商売をしていない)町家で使われる格子です。 出格子で上と下で格子の作りが変わっていて下部分は細かい格子。上の部分は荒めの格子のようになっている。倉敷格子の後,明治以後に現れたと考えられる
奈良格子(ならごうし)法蓮格子(ほうれんごうし)
丸太格子(まるたこうし)
【格子の状態】が丸太で半円形。 丸太を半分(半円形)にし、窓やサクに並べた格子。奈良格子は太くて間隔も広いのが特徴で名前のとおり奈良特有のものです。法蓮格子という呼び名は、奈良県の法蓮町からきていてこの町にあるほとんどの農家がこの格子だったそうです。 丸太を半分(半円形)にし、窓やサクに並べた格子。奈良格子は太くて間隔も広いのが特徴で名前のとおり奈良特有のものです。法蓮格子という呼び名は、奈良県の法蓮町からきていてこの町にあるほとんどの農家がこの格子だったそうです
鹿格子(しかごうし)
今は奈良公園で行われている「鹿の角切り」も、江戸時代のころは町中でやっていたそうですが、昔からシカは特別な存在で当時シカを殺すことは死刑になった時代で、
鹿が暴れた場合に家屋を守り、鹿もケガをしないという理由からこの格子が作られたそうです。シカの角を傷つけないよう丸太をつかっているのでそう言われています。
木辻格子(きつじこうし)日本最古の遊郭
1629江戸幕府。正式に許可されたのが木辻遊郭の始まりですが、その900年も前からあったとされ、日本最古の遊郭だったのではないでしょうか。
太い角材を使った格子はこの木辻町の遊郭、木辻格子がありますが昭和33年公娼廃止が議決され廃業。今ではその姿をなくし現存しているものは残念ながらありません。
目板格子(めいたこうし)
目板とは、幅の狭い細長い板のことで敷目板ともいう。 この、幅の狭い板を並べた格子を目板格子という 格子を並べた部材の隙間を埋めるために打ち付けた板を目板格子と呼ばれる。
江市屋格子(えいちやごうし)
江戸の商人、江市屋宗助が考案した窓の出格子の一種。 細く三角に削った木材を隙間に置いて打ったもの、屋外からは見えず、屋内からは見える作りの格子。
細目格子(ささめこうし)
屋外からは見えず、屋内からは見える作りの格子。
その形状についてですが格子が屋内から外に向かって台形のように広がっているため、風を取り入れながら防犯の役割がある。
木連格子(きづれごうし)狐格子(きつねごうし)妻格子(つまごうし)
3つは同じものを指し、お寺、神社、宮殿、城郭の屋根の破風の下に設けられた、縦横に細く正方形に組まれた格子の部分で狐窓(きつねまど)とも呼ばれます。
屋根の妻にとりつける、内側に板を張った格子のことで「妻格子つまごうし」「木連格子きづれごうし」「狐格子きつねごうし」とも呼ばれています。
呼び方は諸説あり、柧(つまぎ)格子が、狐格子へとなった説。
木連(きづれ)が訛って、狐(きつね)になったのではないかという説もあります。
謎の格子
郭格子、堺屋格子、眠格子、舞良格子、吊り格子、物見格子、門屋格子、人見格子
格子を調べている中で、誰かに作られたのかあったものか謎です。収集。コンプリートしたい癖が昔からあるので生きてるうちに解明できたらと思います。
ご指摘や、知っている!というときはお問合せください。
調べてみてわかった事と課題
今回、格子のことをはじめて調べてみて、色々なカテゴリーの格子があることを知ることができました。最初は知れば知るほど訳がわからなくなっていましたが、今は全体が分かったので僕はこれを灯りの作品作りに活かそうとおもいます。
この記事を書いてから日常で目に入る格子がなにか浮かぶようになって楽しいです(笑)
まだ専門用語の表現の仕方や、分かっていない格子がありますので、今後知ることができたら更新していきたいと思います。
最後までありがとうございました
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