【行灯の種類と名前が分かる】江戸灯り19選+謎の灯り2つ
灯りを使って楽しい事を考える、灯り作家のハギモトです。
お恥ずかしい話しですが…実は行灯については2021年位にその名前を初めて知り、その頃から全く知識がありませんでした。一度調べないとなぁって考えて約3年。今回ブログを始めるきっかけに調査することにしました。
調べてみると行灯って総称や謎の行灯を含めて全21種見つけられましたが中には外見が謎のものもあり、どの形状にも名前があってそれぞれ用途があることが分かりました。今回は19種類を調べることができたのでご紹介します。
この記事を読むことで江戸灯り(行灯)の…
- 種類や違いを少しでも理解できたり
- 現代での希少性を知ったり
- 欲しい灯りの形状の名前を検索できるように
活用いただけたら嬉しいです。また僕自身もこの記事を参考に現代の照明を使って、新しい灯り箱を開発することがあります。更新をしたときは是非チェックしてみて下さい!
手提げ行灯/置き行灯
一般的な室内用の総称。手提げ機能がついて持ちやすく、どこへでも持ち運べて置いて使われることから「行く灯り」行灯と呼ばれています。
手提げは目の前を照らし、置き行灯は足元を照らす江戸の照明です。江戸時代に実際使われていた行灯を目の当たりにしたことがありますが取手部分は真下に炎があったためかなり熱くなっていて持ち手の下の部分が焦げていました。
他にも火の見(ひのみ)行灯/鉄網製の土蔵(どぞう)行灯という手提げ用の灯りがあるようですが、今回、明確な理解がどうしてもできず不明としました。調査して分かり次第更新します。
有明行灯(ありあけ)
黒や赤で塗られた立方体の形状。寝室のまくら元を灯し、トイレに持ち運ぶ手提げ用の灯り。箱の側面を三日月や満月に切り抜きデザインされ明るさを調整できる行灯。 夜明けしてもまだ空に残る(有る)月を「有明の月」(満月から新月までのことを指します) という意味から有明行灯といいます。 月をかたどっている手持ち型の正方形で赤黒が印象的で、名前の由来が個性的ですね。
露地行灯(ろじ)
灯りの上部から下部に向かってやや広がっていく角形の行灯 茶の湯で、夜に談話するときや暁の茶事(極寒の朝の夜明けを楽しむ茶事のことです。)のとき露地の腰掛に置く行灯です。 見て目が座敷行灯との違いがイメージできずにいますが・暁の茶事/・夜咄(よばなし)と用途を指定していることが特徴的です。
座敷行灯(ざしき)
茶席で用いる灯りで座敷の照明に用いられた座敷行灯。 角形が低くく小型。上部に取っ手が装着され持ちはこぶことができました。 基本的な形状は有明や露地と似ています。形状の特徴が見られず今後調査対象です。
路地行灯(ろじ) 足元行灯(あしもと)
路地では、手燭、燈籠が基本のあかりですが、狭い路地は暗く歩きにくく、広さによって灯籠の明りが届かない場合に足元行灯が路地に置かれました。 よく見る形状で現代でも旅館の屋内や庭に設置されているの目にします。縦長で下部に向かって広がりが強く出ます。
書見行灯(しょけん)
見た目、形状は遠州行灯に似ていてシェード部分にガラスやレンズがはめてあり調光が可能。書物をみるのに適した構造になっています。 現物を確認できませんでしたが、ガラスになっていることから有明よりも直接明るさが感じられるものではないかと想像しています。
角行灯(かく)
よく見かけるシンプルな作りで四つ足の行灯。取手が箱内部に取り付けられています。 明治までという記述しか残っていなく由来や歴史が出てきませんでした。
遠州行灯(えんしゅう)
向かって左。丸形の筒のような形状で二重の障子枠を回転させ、光量の調整が可能。 土台部分に着火道具などを収納ができる引き出しがついた行灯。 四角い方も遠州行灯のようですが、明確にこれといった答えが出ず自分の中では謎の行灯に認定しています。 遠州の名前の由来は茶人の小堀遠州(徳川将軍家の茶道指南役)が考案したという説。また円周型の行灯だからという説もあります。
角形行灯(かくがた)
黒や赤で塗られた大きめで、手提げ用の行灯。 途中に油皿がのせられ灯される障子紙の下の土台部分には、引き出しがついていて火種をうつす道具(つけぎ)などが収納できます。
遊郭の灯り(たそや行灯)由来とは?
誰哉(たそや)とは昔の言葉で「どなた」の意味。
江戸の夜は通りすがりの人の顔が暗くて見分けられず、あなたはどなた?と尋ねていた。
二つの説があって真実はどちらでしょう。
①黄昏(たそがれ)を古くは「たそかれ」といい、また人のさまが見分け難いことを「たそかれは=誰そ彼は」といい、2つのことから「たそがれあんどう」と言われ、誰哉(たそや)行灯と呼ばれるようになった説。人のさまを見分ける行灯という意味。
②西田屋の「たそや」という遊女が帰り道に闇討ちのあい、たそがれの夕暮れに点灯するからという説。
誰哉行灯(たそや)
吉原遊廓内に立てられていた誰也行灯も街灯の一種で、遊郭内の各お店(遊女屋)の前に並べられていました。一本足の小鳥の小屋のような灯りで神社でもみるような形状の行灯。
辻行灯(辻)
辻行灯は辻におかれた灯りで、店先行灯の上部に屋根がついたような形状でした。 ランプが普及された明治中期ころからはまったく姿を見せなくなりました。 辻は十字路をさし、辻番とは江戸の武家屋敷周辺に置かれた警備隊で、辻番所はその詰所(宿泊できる所)その前の道に設置されていた行灯。現代でいうところの街灯ににていて防犯効果があったとされています。吉原遊郭(よしわらゆうかく)にあった誰哉(たそや)行灯も一種の街灯でした。
店先行灯(みせさき)
店先や入口に置かれていた大型の行灯。瓦の屋根がついたものもあります。 絵や文字を書いて、看板や広告の役割がありました。 現代ではプラスチック製でお酒を提供する飲み屋やスナックの入口などに設置されているのを目にしますね。進化してなのか、参考にされて現在の形になったのかわかりませんが元の用途は店先行灯と同じですね。
雪洞(ぼんぼり)
日本の歌「うれしいひなまつり」で有名。あかりをつけましょ「ぼんぼり」に〜♪の曲で登場するぼんぼりで「灯りがぼんやりと見える」が由来のようです。 元は茶炉などに用いる、紙や絹張りされた丸型にも見える六角形のあかりに手燭、燭台がついた小型の行灯。雛祭りの両脇に置かれた一本足の灯りです。ぼんぼりは行灯の分類になるようですが詳細が不明。
掛け行灯/釣り行灯
室内、屋外の柱や壁に掛けて目の高さを照らす照明の総称を「掛け行灯」
手提げや置きよりも上を照らす行灯です。屋号や商品名を看板や広告がわりにかけたり、店の玄関や部屋の入口、廊下に掛けて夜間に営業している飲食店が多かったようです。
また神社や寺の参道、境内などに掛けて灯籠がわりに照らす、地口行灯などもあります。
天井から吊り(釣り)下げる行灯で部屋全体を照らす照明の総称を「釣り行灯」
小さいものは昔から釣灯籠を受け継いでいるが、回り灯籠や、人が集まる場所(居酒屋、湯屋)では大型の八間行灯が使われていました。
地口行灯(じぐち)
江戸時代の祭礼のときに飾られる行灯で絵や文字をかいて楽しむ灯り。 現在も、祭りや行事。店舗にかざる風習が残っていて絵をえがく技術も伝承されています。 地口とはことわざなどをだじゃれにした一種で、よく知られた言葉をもじって違った意味に読み替えて楽しむ言葉遊び。例えば… 美味かった(うまかった、おいしかった)▶︎ ︎馬買った(うまかった)大石買った(おいしかった) 江戸時代から稲荷神社の2月の最初の午の日、祭礼に合わせて飾る慣習がありました。
八間行灯(はちけん)
八間と呼ばれ、大型の天井から吊り下げる行灯で、いざや湯屋など人がたくさん集まるところで主に使われていました。昭和、平成の和室でよく見られたもので天井から吊るされた紐で付けたり消したりする照明がありますね。あの懐かしい灯りをイメージしています
まとめ
平和な江戸時代では急速に行灯が普及し、たくさんの種類が登場しました。
行灯の昔を知ったことで、分からないことや疑問(興味)がたくさん生まれましたが、何かのタイミング知ることができたら更新していこうとおもいます。
また行灯達を少しでも知れたことで今後の灯り作家としての作品づくりの参考にできるので、自分なりに形状を表現したり、あえて外したり面白い作品ができそうです
最後までありがとうございました